大熊町民俗伝承館

大熊町民俗伝承館
時期 : 1996年11月
発注者: 大熊町教育委員会
場所 : 福島県双葉郡大熊町

大熊町は日本の東北地方、福島県の海岸部にある人口約1万人の小さな町です。
しかし、文化的な意識の高い自治体で、1996年に図書館と歴史的な資料を集めた民族伝承館をオープンさせました。
民族伝承館は昭和10年代(1935~)の大熊町の暮らしを後世に伝承することを目的に、
町内に残されていた茅葺屋根の農家を移築したものですべてつくられました。

その頃の大熊町はほとんどが稲を栽培する農家でした。
そこで、この農家には祖母・父母・姉弟5人の家族が住んでいると設定して物語を創りました。
四季の自然や、折々の行事、親から子へ伝えられる暮らしの知恵などが12編のサウンドドラマになっています。
サウンドドラマの制作にあたっては、町の古老から当時の話を伺ったり、祭りなど行事の取材録音などを約半年にわたって行いました。
文献だけでなく人々が語る小さなエピソードを紡いで創り上げた物語です。

農家の内部(天井や床、軒下や棚の中など)に設置された42個のスピーカーから再生されたサウンドで、
まるで本当に家族が動いているようにリアルで立体的なサウンドドラマが楽しめます。
例えば、囲炉裏端に座っていた人物が立ちあがり外へ出かけるシーンでは話し声が移動するだけでなく、
立ち上がる音、きしむ床板、足音、下駄を履く音、戸をあける音など、人物の移動をサウンドがリアルに描いています。
42チャンネルのマルチ再生ならではのダイナミックな立体音響空間です。
  • 大熊町民俗伝承館

    家族が座る囲炉裏端の床にはスピーカーが隠されています。
    そのスピーカーの他に、天井からつるされた自在鍵に隠された
    小さなスピーカーからも音を再生することで、
    その人物の声の位置(高さや動きなど)を
    立体的に描くことが出来ます。

  • 大熊町民俗伝承館

    家の軒下には竹製のPIPE SPEAKERが設置されています。
    展示室の天井にもPIPE SPEAKERが設置されていて、
    鳥のさえずりや風、雨と言った自然の音が再生されています。
    地面に埋め込まれたSPEAKERからは犬の走る音も聞こえてきます。